新日鉄対ポスコ 日本の技術流出を食い止めよ

以下は、読売の社説
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新日鉄対ポスコ 日本の技術流出を食い止めよ
 日本企業の最先端技術は、産業競争力や日本の成長の源泉である。外国企業への技術流出を食い止めねばならない。
 新日本製鉄が、韓国の鉄鋼最大手ポスコと新日鉄の技術部門にいた元社員を相手取り、不正競争防止法に基づく民事訴訟を東京地裁に起こした。
 不正競争防止法は、企業の製造技術などの「営業秘密」を外部に不正に持ち出したり、他者が取得したりすることを禁じている。
 新日鉄は、元社員を通じて、高機能鋼板の技術をポスコが不正に取得して製造したと主張し、1000億円の損害賠償と、鋼板の製造販売の差し止めを求めた。
 日本企業が技術流出を巡り、司法の場に訴えるのは異例だ。
 新日鉄は、ポスコの不正取得を裏付ける資料を確保しているという。両社は原料調達などで提携関係にあるが、新日鉄が技術流出について毅然(きぜん)とした姿勢を示したことは評価できよう。
 焦点の鋼板は発電所の変圧器の部品に使われる。新日鉄は1960年代から約40年かけて開発し、開発費は数百億円に上った。
 新興国の電力インフラ需要が拡大し、先進国では、電力の効率利用を図る次世代送電網(スマートグリッド)が有望だ。市場の急成長が見込まれる中、高機能鋼板は重要な戦略製品となる。
 問題の元社員は退職の際、営業秘密を漏えいしないなどの秘密保持契約を会社側と結んでいたが、新日鉄は、元社員が退職後、ポスコへの技術流出に関与した疑いがあると主張している。
 新日鉄の提訴は、グローバル競争を展開している日本の全産業界への警鐘となろう。
 鉄鋼業界に限らず、電機や自動車などあらゆる産業で、最先端技術がライバル企業に流出する恐れがある。韓国や中国の企業に重要なハイテク技術の情報が漏えいしたという疑惑も多々あった。
 今回の問題を機に、各社は技術流出対策を一段と強化すべきだ。まず、最先端技術などの営業秘密の社内管理を厳格化し、コンプライアンス(法令順守)の徹底を図らねばならない。
 営業秘密に関与する立場にいた社員の退職時には、秘密保持契約を結び、順守させるべきだ。経済産業省の調査では、契約を結んでいる企業は約2割にとどまる。
 経産省は近く、1万社を対象に技術流出の被害や防止策を調査する方針を決めた。調査結果を基に官民が連携を強化し、流出対策の徹底を図ってもらいたい。
(2012年5月10日01時46分 読売新聞)
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電機産業では、さんざん、退社した技術者が韓国の企業に就職し、技術を流出してきた。退社する際に秘密所持契約を結んでも、それがやぶられたかどうかを知るのは難しい。これに関する法制化が望まれる。

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